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深堀
UVIエフェクトの研究開発背景
Effects

UVIのエフェクトプラグインにおける研究開発の歴史は短いものではありません。10年以上にわたり、当社の開発チームは、最先端のオーディオ処理を最もアクセスしやすい製品として提供するために取り組んできました。そしてその中で、我々チームの取り組みを最も象徴する 3 つのエフェクト、OpalDrum Replacer、および Plate をどのように設計を確認する絶好の機会でもあります。

OPAL

Opalは60年代生まれで、現在でも定番プロセッサーとして親しまれているビンテージオプティカルコンプレッサーをエミュレートするために設計された、UVIの最新リリースのオプティカルプログラムアダプティブレベラー(光学式音楽プログラム応答型レベリングアンプ)です。我々はまず、オリジナルの回路設計を物理モデルで完全再現するエミュレーションを作成するための研究開発に1年以上の時間を費やしました。Opalは、この定番コンプレッサーの音響特性に寄与する固有のプログラム依存の応答時間と非線形性を再現します。

Opal
回路
回路図に従い、ゲインリダクション、サイドチェーン回路、メイクアップ回路など、処理段ごとに徹底分析されました。約40個の電子部品が含まれているため、総当たりシミュレーションを最小にした場合のCPU負荷はリアルタイム使用できないほどに高いものになります。幸いなことに、全体的なサウンドに影響を与えることなく、いくつかの箇所を簡略化することが可能でした。特に、回路の実際の機能と、当時のハードウェア設計の制約による反映された機能を区別したことで、どの部分をバーチャルアナログモデルで回避できるのかを特定できました。いくつかの処理段は分離され、いくつかの部品は一緒にまとめられ、そしていくつかのコンポーネントは、影響しないことで、完全に廃止しました。
測定
次に、複数のオプティカルコンプレッサーの測定を実行し、それらの光学セルの特性、つまりフォトレジスター内部のダイナミクスとフォトレジスターと発光素子間のオプティカルカップリングの法則を抽出しました。これらのコンプレッサーは、実際にスタジオで稼働している実機であるため、測定は可能な限り、非侵入的である必要がありました。つまり、部品を分離して測定するために回路を分解する必要はありませんでした。 回路の残りの電子機器についてはすでに熟知しているため、リバースエンジニアリングを実行し、これらの測定値に基づき、マシンラーニングを少し加え、光学セルモデルのパラメーターを推定しました。
統合

このシミュレーション自体は、いくつかのリダクションおよびプリレゾリューション技術を適用し、モデルを( 40個の部品から) 2 x 4次システムに縮小することに成功しました。この解決策は、演算効率が高くなるように特別設計されています。最後に、外部サイドチェーン、可変応答(アタック&リリース調整)、周波数応答補正(低域の影響や高域ブースト設定)、チューブドライブなど、現代の制作環境必須のものや便利なものなどの最新機能を追加して、独自の革新を持つ物理モデルを作成しました。

DRUM REPLACER

Drum Replacerは、レベルベースのトリガー検出という確立された手法を維持しつつ、シンプルで使いやすい画面のドラム差替ツールとして作られました。しかし、この従来のものよりもはるかに簡素化されたインターフェイスとは逆に、その内部は、検出タスクを簡素化するための音源分離やマシンラーニング手法など、多くの高度な信号クリーニングおよび前段処理手法は、既存ツールよりも高度かつ複雑で、それに時間を費やしました。

ドラムソースの分離
ドラムソースの分離に関する私たちの理論的根拠は次のとおりです:大きなデータセットで平均的なモデルをトレーニングするのではなく、特定のドラム録音状況に合わせて調整されたローカルのアドホックドラムモデルで最も入手可能な情報を使用しました。多くのマルチマイク収録されたドラムセットは、各要素がマイクブリード(カブリ)によって音像が滲むことがあります。ブラインドソース分離法を使用することで、主要なドラムレイヤーのアドホックモデルを学習し、さまざまなコンポーネントを聴いて切替えるだけで、関心のある主要ドラム要素のみを分離して再合成することができます。この信号は構成主義的な方法で加算的に再合成されるため、バックグラウンドのブリード要素(キックドラムトラックのハイハットなど)や収録ノイズを効率的に除去できます。
Drum Replacer
Drum Replacer

この信号は構成主義的な方法で加算的に再合成されるため、バックグラウンドのブリード要素(キックドラムトラックのハイハットなど)や収録ノイズを効率的に除去できます。学術界から流用したこれらのツールを組み合わせることで、当面の問題に関する入手可能な情報を最大限に活用して、困難なユースケースに対処する方法が提供可能になりました。

PLATE

Plateの主な目標の1つに、ユーザーが現実をはるかに超えた独自のカスタムプレートリバーブをデザインできるようにすることです。このことで、クリエイティブに利用できる完全にパラメトリックなプレートリバーブを完成させました。Plateは、最大20,000のモードを備えたリアルタイムフィジカルモデリングを採用し、物理ユニットの制限をはるかに超えた、別次元の深さと詳細さを実現します。

Plate
フィジカルモデリングの極み

最も象徴的なプレートリバーブであるEMT140は、2m x 1m の大きな鋼板で作られた重いデバイスで、金属に固定トランスデューサーが取り付けられ、ダンピング量を制御するフォームが付いています。

それと対照的に、Plateはフィジカルモデリングによって以下要素を変更できます:


• 物理寸法: 鋼板のサイズが自由に変更可能です。例えば、鋼板を細長くすることで、パルス波動伝播が鉄道網のように非常に分散した、スプリングリバーブに似た響きになります。
• 素材:鋼板の素材を変更することで、質量の違いによって伝播速度や不調和性を変化させ、異なる響きを生み出します。
• 張力(テンション):鋼板のしなりによって響きのモーダル周波数のチューニングを制御します。
• トランデューサーの位置:鋼板の振動を発動するドライバーとそれを拾うピックアップの位置の調整で、リバーブの音色を変えることができます。

Plate

あらゆる種類のダンピングは学術研究に基づいており、物理的な根拠に従います。使いやすいインターフェイスで直観的に再生しながら、ダンピングを設定し、ミックスをするまで、数回のクリックをするだけです。そしてアルゴリズムリバーブの豊かなコーラステールを物理モデリングの世界に持ち込むためのモードモジュレーションなど、実在しない魅惑的な機能もいくつか組み込みました。

Plate

もちろん、我々は、Plateが正確無比の実機エミュレーションであることも望みました。そのために、パリに所在する世界有数の著名スタジオに赴き、定番のEMT140(鉄板)とEMT240(金箔)を丹念に測定しました。そして、あらゆる種類の設定の測定値と厳密に一致するようにフィジカルモデルを調整するのにも時間を費やしました。

もちろん、我々は、Plateが正確無比の実機エミュレーションであることも望みました。そのために、パリに所在する世界有数の著名スタジオに赴き、定番のEMT140(鉄板)とEMT240(金箔)を丹念に測定しました。そして、あらゆる種類の設定の測定値と厳密に一致するようにフィジカルモデルを調整するのにも時間を費やしました。

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