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クリエーター
イントロダクション: Venus Theory インタビュー
In Conversation With Venus Theory
Noctuaの制作と設計に関する、作者の視点を得るために、Cameron aka Venus Theoryの独占インタビューを取りました。この製品の創造力の源である、彼のインスピレーションとサウンドデザインの経験が、どのようにしてこのモダンシネマサウンドスケープシンセサイザーに変換されたのかを、ここでうかがい知る事ができます。
自己紹介と経歴をお知らせください。

Cameron(キャメロン)と申します。そしてVenus Theory(ビーナス・セオリー)としても知られています(あるいは自分がそう呼びたいと思っています)。テネシー州ナッシュビル近くに拠点を置くサウンドデザイナー、ミュージシャン、YouTubeクリエイターで、日常の仕事は通常、これらすべてを少し組み合わせたものです。

過去数年間、プリセットデザインや拡張パック、コンテンツ制作、デモトラック、サンプル/ループキットなど、さまざまなハードウェアおよびソフトウェア会社と協力してきました。 ゲームや映画、ライブラリーミュージックの作曲作業、アセットパックやトレーラーライブラリー向けのサウンドデザインや効果音デザインも行っています。合間に、Venus Theoryの名前でYouTubeチャンネルを運営しており、最近では主にクリエイティブな仕事の心理学と哲学に焦点を当てた動画を制作しています。

音楽的および音響的に、私の作業はトレーラー/ゲーム音楽とアンダースコアなどに特化しています。現代の電子的なアイデアに焦点を当て、ダークアンビエントのようなトーンと、さまざまな音のテクスチャーや操作されたアコースティックおよびオーガニックな要素を組み合わせた「ハイブリッド」なアプローチが特徴です。

要するに、私は完全なサウンドとビデオオタクで、あまりにも多くのビデオゲームをプレイしている結果、それが実際のキャリアにつながる価値ある生活のスキルセットになりました。

Falconを長い間、使用されてきましたと思いますが、Falconの使い方やアプローチについて教えてください。

Falconは、スタジオでのお気に入りツールの一つです。サンプリングを含む何かが必要なときは、たいていFalconを選びます。異なるサンプリングエンジンと、パッチを補完するために使用できるシンセエンジン、多彩なエフェクトの提供、そしてすべての高度でものすごいレイヤリングとMPE機能は、サウンドデザインと作曲においてこれに匹敵するものはない思います。

サウンドデザイン作業では、Falconは異なるエンジンを提供できるため、メインのサンプル攪拌ツールになります。そしてバージョン3で追加された新しいテンプレートオプションによって、異なるサウンド同士の攪拌やアイデアを活用した新しいワンショットやサンプルベースのアイデアを作成するためのカスタムツールセットを持ったことがさらに役立っています。

音楽作業では、Falconではさまざまなエクスパンションやサウンドウェア(音源バンク)が豊富に利用できるとことが良いです。特に市販のUVI音源を使用できるのはとても素晴らしい。このことで、作曲作業にはいるための自分のサンプル音源を簡単にプロトタイプ化でき、お気に入りのUVI音源に自分独自のシーケンサーやエフェクトチェーンなどの機能を追加したり、変更したりすることも度々あるし、それが簡単にできるところも気に入っています。

どんなきっかけでこのNoctuaプロジェクトは始まったのでしょうか? そして、このプロジェクトに対するあなたのアプローチは?

Noctuaは、私が自分自身のサンプル音源のアイデアとして始まりました。私は自分の音楽や作曲作業を効率的に進めるために、通常のサウンドやアイデアの「シグネチャーパレット」を作りたいと考えていました。

いくつかのプロトタイプの試作後、私には自力でそのアイデアをFalcon(あるいは他のどのプラットフォームでも)でプログラムしてまとめるのは難しいと感じました。

2023年のNAMMで、私はこのアイデアをUVIチームに伝えました。彼らはそれが彼らの音源ラインナップにおいても機能する素敵な新製品のアイデアだと思ったので、私が楽しい部分をやったら、彼らが私のアイデアをまとめる重労働をしてくれることになりました(笑)。

この製品の作業過程はどのような感じでしたか?

2023年初頭、私はNoctuaの構成要素となるさまざまなコンポーネントをサンプリングしていくつかのプロトタイプ音源を開発しました。最初のプロジェクトはかなり大きく、もっと雑然としていましたが、最終的にいくつかの主要なコンポーネントとサウンドタイプに絞り込むことができました。

最初のビジョンは約10〜15の異なるカテゴリーとソースでしたが、それはソロプロジェクトとしては膨大過ぎるであることを意味し、また(少なくとも私の考えでは)そのようなライブラリーは、焦点が不明瞭になりがちと感じ、「使う楽しみ」をユーザーに提案するには、気に入ってくれる人は限られてしまうと感じました。

NAMMの後、UVIのチームの助けによって、この音源の絞り込みを3つの主要なサウンドカテゴリーに集約しました。このことで、サンプリングプロセスがはるかに管理しやすくなり、結果としてライブラリーに有用性と即効性が与えられました。

自宅のスタジオで、私はすべてのサンプルを録音・編集し、音源の基本レイアウトとサウンドエンジン機能を作り上げました。それが整ったら、UVIのチームがUIとコントロールを最終的に仕上げ、私が最初に考えていた以上の、この音源の潜在力を引き出すいくつかの追加機能を追加されました。

それがすべて完了すると、私はパリのオフィスに立ち寄ってUX/UIの最終仕上げ、プリセット作成、プロモーションやマーケティング資産を完成させるためにチームと共に作業しました。それからは家に戻ってトレーラーの楽曲を作成し、いまこうして皆さんにお届けできるようになりました!

Noctuaのサウンド素材はどのように作成されたのでしょうか?処理にどのようなテクニックを使用されたのでしょうか?

Noctuaは3つのメインカテゴリー:Analog、FX BoxとEMFで構成されます。

Analogサウンドセットは、さまざまなアナログシンセサイザーやいくつかのデジタルシンセサイザーからキャプチャされたサウンドを、様々なブティックペダルで処理しました。これは伝統的なアナログスタイルのテクスチャーになりすぎない大きな「主力」サウンドで構成されています。これらのサンプルは、より安定した「コア」の感触を持つようにしたかったのですが、単純ノコギリ波形などではなく、より情緒的でテクスチャーが豊かなもを揃えました。

FX Boxカテゴリーは、私の手作りのエフェクトボックス楽器を使用して作成されました。これらは廃材のハードウェアパーツとさまざまな木箱から構築され、コンタクトマイクロフォンを結線しました。そうして非常に面白く、マレットや様々な物体で引っ叩いたり、撫でたり、弓で擦ったり、バネを弾いたり、あるいはその他さまざまな「テクニック」で演奏し、狂気じみた響きやワンショットを生成します。これらは高サンプルレートで収録され、ピッチダウンしたり、奇妙な効果のエフェクトチェーンで処理されたりすると特に楽しい結果が得られるでしょう。

それをマルチサンプルセットにするのは少し難しかったです。なぜなら、ワンショットはワンショットであり、必ずしも音調のあるサウンドではないからです。それを解消するためにUVIチームとの試行錯誤の末に出た結果は、グラニュラーシンセシスとさまざまなエフェクトチェーンの組み合わせを使用して、さまざまなムードとテクスチャーを提供できるサウンドを作成し、他の2つのカテゴリーと素晴らしい相性を発揮できるようにしました。

最後に、EMFセクションのサウンドは、SOMA Etherを使用して作成されました。これは電気音を拾う非常に興味深いマイクです。これはとても楽しく、同時に多くのフラストレーションを引き起こしました。なぜなら、すべての電気アイテムが独自の音を発するが、それらがすべて使えるわけではないからです。自宅中を歩き回り、街まで行って、さまざまな店まで行って、電気で動いている面白そうなものはなんでも調べ、試しました。

結果として膨大なサンプルセットを得ることができました。収録したサウンドソースの個々が1つの音しか生成しないため、それをマルチサンプルに変換するためには十分な素材になるようにDAWで操作する必要があり、非常に長いサンプルを録音する必要がありました。結局、電球からG3の音を得られることはありませんでした。

最終的な結果はいくつかの異なる処理を組み合わせしたが、主にFMとRM(リングモジュレーション)の組み合わせで録音された音を操作して、安定して予測可能なピッチを作り出し、たくさんのビリビリするようなテクスチャーと動きを加え、たくさんの雰囲気を与えることに成功しました!

最終結果はいくつかの異なるプロセスの組み合わせになります。主に収録した音をFM(フリクェンシーモジュレーション)およびRM(リングモジュレーション)の組み合わせで操作し、安定した予測可能なピッチを作り出し、バリバリとしたテクスチャと動きをたくさん加え、そういった雰囲気をたっぷり醸し出しています!

この製品の用途は?特定の用途を念頭に置きましたか?

さっき言った通り、Noctuaは、自分の音楽やスコア作品とうまく機能するユーティリティサウンドセットが欲しかったので、基本的に「Venus Theoryの玉手箱」のようなものがこれの構想です。私は自分専用のサンプリング音源を開発するのが大好きで、極私的なサウンドバンクのためだけに保存した音源を数十を持っています。そしてそれは音楽を自分自身のものにするためのツールやアイデアの特別セットを持つための素晴らしい方法です。

私は本当に、より強烈な「トレーラー化した」サウンドとアクションスコア作業でも使える一種のリミナル、ダーク、ムーディーなアンダースコア感のある、そして作品にテクスチャーとキャラクターを追加するための「仕上げ」として機能するもの、あるいは特別な独自性を明確に発揮する何かをいつも求めています。

UVI チームは、そのアイデアをさらに推し進める手助けを沢山してくれました。サウンドを変えるためにいくつかのカスタムエフェクトチェーンを提案し、素敵な内部機能強化やトリックを多数追加し、さらには 3 レイヤーのマクロトナルシーケンサーの実装は、どれも私が今まで考えていたものをはるかに超えていて、より素晴らしい楽しいものに仕上がったと思います。

これは私のお気に入りサウンドとアイデアの一種の具現化ではありますが、UVI チームによる新しく刷新された部分による違った発見や目線がとても楽しみですし、他の人がそれを使って何ができるのかを見るのも本当に楽しみです。UVIの人々が私の(とても混沌とした)アイデアにさらに多くのことを追加し発展させたので、他の人がどのようにしてこのライブラリーのサウンドを完全に独自のものに変えるのかを見ることにとても興味があります!

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